ジョッピーノ人形の個人コレクション(イタリア/ベルガモ)

2018年04月21日

イタリア語では、手遣い人形のことを「ブラッティーノ」(Burattino)という。ベルガモの手遣い人形のスター的存在は、「ジョッピーノ」(Gioppino)くん。ジョッピーノはコメディア・デラルテのキャラクターであるが、ベルガモ人形劇の主人公として残った。

〘ちなみに基本的なことであるが、ヨーロッパの人形劇には、大きく分けて糸繰り人形(マリオネット)、手遣い人形(パペット)、そして影絵の三種がある。イタリアは各都市によって、中心的に演じられる人形劇のスタイルが異なる。〙

さて、ジョッピーノの喉の下のこぶはなんであろうか? これは、甲状腺腫。かつて塩が不足しヨウ素を摂取することが難しかったころ、この地方には甲状腺腫がある人が沢山いたとのことだ。それにしても甲状腺は左右に二つあるだけだから、真ん中の腫れはおかしいのだが、それは民衆人形劇の想像力の産物。

ジョッピーノの奥さんのマルジも、お母さんのマリアも、お父さんのボルトーロも、ジョッピーノの家族はみんな同じように三つのこぶがある。

このベルガモ伝統の人形劇を上演している劇団は現在もまだいくつかある。今回同行してくれたのは、下の写真に写るカルラさん(右から二番目)とその娘さん(一番右)。半ばアマチュアというが、ベルガモ近郊の町でジョッピーノ人形の上演を続けている(https://www.facebook.com/IBurattinidiRoberta/)。カルラさんは、ベルガモ方言の名手とのこと。

上の写真の背景にご注目。この人形で一杯の不思議な部屋は何かというと、ベルガモの古い鍛冶屋さんが所有している、ジョッピーノの個人コレクションである。今は亡くなった先代のご主人が、鍛冶屋の傍ら熱心にジョッピーノを集めたらしい。

「ジョッピーノ」というキャラクターはベルガモのものだが、北イタリアのこのあたりは、50キロメートルごとに異なるキャラクターが存在するという(イタリア人形劇を知り尽くすパリジャン、アルベール・バニョさん(写真左端)談)。

たとえば、トリノはジャンドゥーヤ(Gianduja)、トルトーナはタスコーネ(Tascone)レッジョ・エミリアはファジョリーノ(Fagiolino)・・・・・・ イタリアの各都市をそれぞれの聖人が守っているように、各都市にそれぞれ特定の手遣い人形のキャラクターがあり、地元民に愛されている。


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